お役所仕事は遅くて困る!
民間では考えられない!
こんな疑問にお答えします!
- お役所仕事が遅いのは「決裁制度」が原因
- 決裁に必要な「起案文書」について
市役所などの行政機関の仕事には、時間がかかるイメージをもっている方は多いと思います。
その原因は「決裁制度」とよばれる仕事のルールにあります。
お役所仕事が遅いのは事実ではありますが、公務員一人ひとりの問題ではないんですね。
この記事ではお役所仕事が遅い理由について、元準公務員※が解説します。
※準公務員とは?
「準公務員」は公務員ではないものの、公共性の高い民間企業(組織)に所属する人のことです。
仕事の進め方や制度は、公務員とほとんど変わりません。
日本年金機構の職員、日本郵便の従業員、自動車教習所の検定員などが該当します。
ぼくの場合、厚生労働省に関連する団体に勤めていました。
「お役所仕事」が遅い理由
お役所仕事が遅いのは、「決裁制度」といわれる仕事のルールが原因です。
あらゆる業務を行うときに、この内容で進めていいかお伺いを立てる文書を回覧します。
- 書類の作成・送付
- 申請の処理
- データの入力
- 出張の申請(数時間の「外出」を含む)
- 備品の購入
ほとんどの仕事は、全員からの決裁がもらえないと進められないのです。
決裁に必要な文書は「起案文書」といい、民間企業でいう稟議書に似ています。
なので民間企業で例えるなら、ほぼすべての業務で稟議書を回すイメージですね。
もちろん回覧の途中で指摘が入れば、はじめからやり直し。
ただでさえ時間がかかるのに、さらに対応が遅くなってしまいます。
ということで、いちいち文書を回して決裁をもらわないといけないので、お役所仕事は遅いのです。
「起案文書」とは?
決裁をもらうときに回覧する「起案文書」について、もう少し詳しく紹介します。
起案文書は民間企業でいう稟議書みたいな書類で、ほぼすべての業務に必要です。
わかりやすく省略していますが、だいたいこんな感じの文書です。
同じ文書を1日に何枚も作成し、上司にあたる人全員のハンコをもらわないといけません。
ぼくが厚生労働省の関連団体に勤めていたのは平成末期なんですけど、たぶん令和になっても変わっていないと思います。
この書類をほとんどの業務で回覧するので、仕事がなかなか進まないんですね。
「書類を回すことが仕事」って感じでした。
まとめ:お役所仕事が遅い理由
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
この記事のまとめです。
- 全員から「決裁」がもらえないと、ほとんどの仕事を進められない
- 決裁のために「起案文書」を回覧し、全員のハンコをもらう
- 個人の裁量はほぼないので、一つひとつの仕事に時間がかかる
お役所仕事が遅いのは「決裁制度」という組織のルールのせいなので、「公務員は仕事ができない!」なんて考えないでほしいと思います。
公務員であれ会社員であれ、個人が組織に立ち向かうのは難しいのです。
この記事で紹介した決裁制度のように、世の中のしくみを知ると、許せなかったことが許せるようになるかもしれませんね。
コメント
コメント一覧 (2件)
なぜ遅いかはわかっていて、長年にわたりそのことについての指摘やクレームが後を絶たないのもわかっていながら、じゃあその決済制度をやめようとならない理由はなんですか?
コメントありがとうございます。
簡単に言ってしまうと「前例主義」が原因だと思います。
決められたことを決められた通りにこなすことが「お役所仕事」なので、
決裁制度も変えられないのでしょう。
利益の追求が目的の民間企業とは違い、法令の遵守が目的のため、
「前例通りにやる=法令を遵守している」というイメージです。
民間の感覚から考えると理解しにくいですねよ。